マーケティングとは?ビジネスの成長に欠かせない理由と自分で取り組むメリット

最終更新日:2025年11月29日

頑張っていい商品を作っているのに、思うように売れない。一部の客に評価されているけど、ビジネスを支えるほどの売り上げではない。材料にこだわった自信作なのに、効果的にアピールする方法が分からない。

もしあなたがこのような問題を抱えているなら、今すぐマーケティングに取り組むべきです。この記事では、マーケティングの重要性と、経営者が自らマーケティングをやるべき理由を説明します。

この記事の内容

マーケティングはビジネスの成長に欠かせないスキル

ビジネスは「作る」と「売る」の二本柱でできています。どちらかが欠けるとビジネスが傾きます。

例えば、作る技術だけを重視し、売る技術を軽視すると、ほとんど売れない優れた商品ができます。逆に、作る技術に1、売る技術に残りの99ポイントを振り分けると、“詐欺商品を売る危ない会社”というレッテルが張られます。

そうならないためには、経営者は「もの作り」と同じぐらい「マーケティング」にも力を入れる必要があります。良い商品を作って、良いマーケティングに取り組むことで初めてビジネスが成長します。

なぜ今、マーケティングが必要なのか?

腕を組んで待つだけで客が降ってくるという時代があったかもしれません。しかし、物があふれ、ライバルが多い今の時代では期待できないやり方でしょう。

いくら材料にこだわって、いくら時間と技術を注ぎ込んだとしても、その努力が客に伝わらなければ誰も買ってくれません。同じ商品なら、客は安い方を選びます。黙って客が降ってくるのを待っていては、価格競争に巻き込まれるだけです。

このような状況を避けるためには、作った商品の良さを確実に客に伝える必要があります。物と情報が溢れている時代にビジネスを成長させるためには、マーケティングが必要不可欠です。

マーケティングとは何か?初心者でも分かりやすいマーケティングの基本

マーケティングを単純に“宣伝”と考える人が多いですが、実はもっと奥が深い。ドラマで例えるなら、営業部、広報部、開発部を横断的に行き来しながら、社長が経営判断を下すための情報を集める“特命係”です。

マーケティングは経営に必要不可欠な知識

ビジネスの話にはMBAという資格が良く出てきます。MBAはMaster of Business Administrationの略で、日本語では経営学修士と呼ばれています。大層なものに聞こえますが、「経営に必要な知識をまとめた資格だ」と思えばいいです。

MBAによると、経営に必要な知識は「人・もの・お金」の3つに分けられます:

  • 人 = 人の動かし方
  • もの = 商品の売り方(マーケティング)
  • お金 = お金の動かし方

このように、マーケティングは経営に必要不可欠な知識の一つです。この知識が欠けてしまうと、いくら立派な組織を作って、お金を完璧に動かしても、商品を売らなければ売り上げがない。

売ることの難しさから生まれた“科学”

「作るのは簡単、売るのは難しい」という“アドバイス”を聞いたことありますか?世界中でかなり古くからある格言で、作ることに対して売ることの難しさを的確に表している表現です。英語の「Making is easy; selling is an art.」(作るのは簡単、売るのは神髄)が一番好きな表現です。

売ることが難しいからこそ、マーケティングが経営の必須スキルであり、一つの“科学”として扱われます。

マーケティングは「売れる仕組みづくり」

その“科学”が対象としているのは、商品を売る仕組みです。客はどうしてあなたの商品ではなく、他社の商品を購入するのか?その判断基準は?どうすればあなたの商品が売れるのか?

マーケティングは“勘”や“センス”ではなく、問題の原因や理由を調べて、論理的思考に基づいてその解決策を考えるスキルです。つまり、商品が売れる仕組みを考える科学です。

ファミリービジネスや中小企業こそがマーケティングに取り組むべき理由

誰もが知っている会社が新しい商品を発売すると、メディアがアクセス数を稼ぐため勝手に宣伝してくれる時代です。積み重ねた認知度やコアなファンも既にいるため、ある程度販売できます。しかし、誰も知らない中小企業や地方のファミリービジネスでは話が違う。認知度も、厚いファン層もなければ、メディアが勝手に宣伝してくれることもありません。

だからこそ、中小企業やファミリービジネス、個人経営のビジネスこそがマーケティングに取り組むべきです。このハンデを克服するためには、自分でできることから少しずつ始めるしかありません。大手もみんな最初は小さいビジネスだったことを忘れないでください。積み重ねた努力の結果が今の成功です。

マーケティングを自分でやったときに得られる3つのメリット

マーケティングをマーケティング会社に依頼して、丸投げすることはできます。しかし、費用がとにかく高いことが弱点です。依頼内容や規模によりますが、数百万~数千万円のコストを覚悟する必要があります。

そんな大金を簡単に出せない中小企業・ファミリービジネスこそが自分でマーケティングに取り組むべきです。コスト面で助かることはもちろんですが、自分でやるからこそ実現できる・手に入れられるメリットがたくさんあります。それぞれのメリットについて説明していきます。

① 自分の商品を一番熱く語れるのは自分

自分でやるマーケティングこそが最強のマーケティングです。

マーケティングを外注に依頼すると、そのマーケティング会社が代わりにパンフレットやWebサイトを作ってくれます。しかし、そのマーケティング会社は日本酒の専門家でなければ、日本酒を作ったこともない。肝心の文章は第三者のライターに依頼されるので、そのWebサイトの文章は一般論の域を出ず、“それっぽいこと”を並べただけのものになってしまいます。

では、自分でWebサイトの文章を作った場合を想像してください。あなたが何にこだわって、どのように作っているのかを自分の言葉で説明します。商品を実際に作っている人だけが分かる・見える・感じることを、自分の言葉で説明したとき、客に途轍もない情熱と重みが伝わります。「それなら買ってみようかな?」という気にさせるのは、その熱意が客に伝わったときです。その情熱を最も効果的に伝えられるのは、他でもない、その商品を作り・熟知している本人です。

② 経営の基本が覚えられる

経営の必須スキルであるマーケティングが覚えられます。

経営者(作り手)自身がマーケティングに取り組めば、自分に足りなかった知識を実践形式で覚えられます。MBAのような“タラれば”や想像の世界ではなく、自分の会社、自分の商品、実際の現場で勉強できます。そこから得られる情報量と経験値は資格勉強の何百倍もの価値があります。

しかも、マーケティングのやり方を一回覚えれば、自分でいつでも実行できるということです。麻薬のようなマーケティング会社に依存することなく、自分の力でビジネスを成長させられるということです。いいものを作って、適切なマーケティングを自分でやって初めて一人前の経営者になれます。

③ 聞こえてくる客の声から新しいヒントがもらえる

ビジネスを成長させるためのインテリジェンスが得られます。

経営は判断と決断の連続です。そして、ビジネスを成長させるためには、常に新しい技術やアイデアを取り込む必要があります。しかし、どの技術やアイデアが正しいのか分からない。これが経営の難しいところでしょう。

自分でマーケティングを行うことで客との距離がぐーんと縮まります。客の声が届きやすくなり、何が求められているのかが分かりやすくなります。様々なところから情報やヒントが入りやすくなるので、より広い視野で物事を考えることができます。この情報やヒントこそが正しい決断の材料です。その材料を入手できるのは、自分でマーケティングを行っているからです。

自分でマーケティングに取り組まないとどうなる?

では、マーケティングに取り組まない場合はどうなるのか。この記事にたどり着いている時点で、そのデメリットを既に肌で感じているはずです。ここではそのデメリットの正体を説明していきます。

マーケティングに力を入れないビジネスは、もはや存在していないと同じ

想像してみてください。とあるパン職人がいます。高品質な小麦粉を使い、水と酵母にこだわり、フランス人も唸らせるバゲットを作ります。独立して自分のパン屋を立ち上げようと考えました。とんでもない山奥の洞窟の中。マーケティング活動は一切せず、オープンを迎えた。

オープンから6か月、客は知人やその友達を含めてたった10人でした。売り上げにして3万円。「良いものなんだけど売れない・・・」、「食べてくれれば絶対分かってくれるのにな・・・」と悩みながら資金が底をついた。

このパン職人の事例では一体なにが問題だったのか?店を構えた場所?チラシの一つも作らずに店を始めたこと?

答えは「マーケティングに取り組まなかったこと」です。今はへんぴな場所でも、客がそのパンに価値があると思ったら、いくら遠くてもそのパン屋に行く時代です。重要なのは、そのパン屋の存在を知ることです。存在を知っていれば行く。存在を知らなければ、その山奥に行くことはない。つまり、マーケティングで自分の存在を知らせることが重要です。マーケティングをやらなければ、自分が存在していないと同じです。

競合との差別化ができない→価格競争に巻き込まれる

同じパン職人が山奥の洞窟ではなく、駅前の商店街に店を構えるスペースを見つけたとしよう。人通りのある場所なので、洞窟とは比べ物にならない。今回もマーケティング活動は一切せず店をオープンさせた。

オープンから6か月、バゲットは10本しか売れなかった。原因を探ると、同じ商店街にパン屋さんが既にあり、バゲットも売っています。そのバゲットは一本100円という値段で、職人が作る1,000円のバゲットと比べて、10倍の価格差があります。

100円のバゲットは言うまでもなく、海外から買える一番安い材料と機械を使うことで、その安さを実現できます。味は残念ながら、バゲットとは程遠いものです。それなのに、月に900本も売れる代物です。なぜその差ができたのか?

簡単です。2つとも同じバゲットに見えるなら、客は安い方を選びます。

パン職人が何も言わなければ、高品質な材料が使われていること、フランス同様手作りであることなどを客が知るはずがない。「食べたら分かる」かもしれないが、そもそも買わなければ食べることはない。その時点で負けが確定しています。

つまり、材料へのこだわりとそこから得られる価値を説得できなければ、客から見れば全てが同じバゲットです。全てが同じに見えるなら、唯一の判断基準が価格になるため、客が安い方に集まります。自分のバゲットの価値を説明できなければ、価格競争に巻き込まれて終わりです。

売り上げが“運任せ”になってしまう

マーケティングに取り組まなければ、作ったバゲットが売れるかどうか分かりません。運が良ければ売れるかもしれないし、運が悪かったら店が潰れるかもしれません。果たして、ビジネスは“運任せ”でやるものだろうか?

ビジネスを成長させるためには、新規顧客を常に獲得する必要があります。なぜなら、常連客は生命の泉で泳いでいる訳ではないし、転勤、引っ越しや心変わりで必ず減るものです。そのため、常に新規顧客を獲得して、その中から常連客になってくれる人を増やさなければなりません。

仮に今はマーケティングなしで何とかなっていても、その状態が永遠に続くとは限らない。ビジネスには原因と結果の論理(“この選択肢を選んだら、この結果が得られる”)が重要で、原因のない結果を祈り続けるのは経営ではなく、ただのギャンブルです。

自分でやるマーケティング vs 外注の違い

マーケティングは外注ではなく、全てを自分でやるべきか?いや、そんなことはありません。使い分けるべき理由と中小企業・ファミリービジネスが取るべき戦略を説明します。

どちらが良いかではなく、自分の状況に合わせた取り組みを

数千万円の資金が遊んでいる場合、マーケティングは間違いなく電通や博報堂などに外注すべきです。何といっても効果が一番早く現れて、マーケティングという別の作業に時間を割く必要はありません。

しかし、中小企業やファミリービジネスにそんな“貴族の遊び”は難しいでしょう。自社が置かれている状況を考えて、できることから始めるべきです。資金的な余裕がない場合は自分でマーケティングに取り組むことから始めましょう。

最初から外注にする落とし穴

もしあなたがマーケティングの知識がないにも関わらず、最初からマーケティングを外注に丸投げした場合、“不都合な問題”が発生します。それは薬物に似た依存症です。

マーケティング会社にお金を払い続ける間に宣伝や売り上げは順調です。しかし、何らかの理由でお支払いができなくなる(不況や“コロナ”などの不測の事態)と、宣伝がピッタリ止まって、売り上げも急降下します。自分に知識が全くないため為す術がなく、ビジネスの存続に関わる大きな打撃になります。

危険な依存関係を避けるためには、自分でもある程度の知識を備えることが重要です。

小規模ビジネスは“最初だけ自分でやる”のが正解

マーケティングは最初だけ自分でやるのが一番理にかなっている方法です。そこには3つの理由があります。

1つ目は資金の面です。マーケティングの外注にまとまった資金が必要ですが、自分でやる場合は比較的に安く始められます。

2つ目は経験の面です。自分でやることで、マーケティングの知識が身に付きます。その知識は経営の基本で、持っているだけでより的確な経営判断ができます。また、自分でマーケティングを行えば自分のビジネスを違った側面から見えるようになったり、客観的な視点が持てるようになります。もちろん、自分の手でビジネスを成長させるという喜びは唯一無二です。

3つ目は知識の面です。自分でマーケティングを行って、ビジネスが大きくなると、全てを自分でこなすことが難しくなります。大手のように、マーケティングを外注する必要が出てきます。経験がなければ言われたことに従うしかないが、自分で既に一回やっているので、そのマーケティング会社が何を言っているのか分かります。「騙されているかもしれない」という不安を払拭できることが大きいです。

今日からできるマーケティングの始め方

マーケティングは決して難しくない。今の時代は専門知識がなくてもWebサイトを簡単に作れます。ここではマーケティングの基本的な始め方を説明します。

① 欲しい客を決める

先ほどのパン屋の事例で考えると、職人が欲しい客層は明確です。フランスと同じ本物のバゲットを食べたい人たちです。「パンは何を食べても同じ」という人たちではなく、「朝はごはん派」の人たちでもない。パン職人の客層は、本物のバゲットに価値を感じる人たちです。

② その客に働きかけられる方法を知る

朝にパンを食べる人たちの年齢層は比較的に若く、忙しい人が多いです。その人たちは新聞よりも、ネットでニュースなどを見ることが多いでしょう。つまり、パソコンやスマホなどを持っています。それをヒントに、WebサイトとSNSにバゲットの情報を流すことが一番効果的です。

③ その方法を確実に実行する

アクセスのないWebサイト、フォロワーがいないSNSを使っても意味がありません。ブログを作るにしても、Instagramを使うにしても、“アクセスされるやり方”というのがあります。そのやり方をしっかり守って、記事や写真をアップし続けることでアクセスが見る見る増えていきます。アクセスした人の中からそのバゲットに価値を感じる人がいれば、必ず買いに来てくれるはずです。

こうして、自分で始めたマーケティングが少しずつ売り上げにつながり、あなたのビジネスを成長させてくれます。

まとめ:マーケティングは“売るため”ではなく、“選ばれるため”の活動

いくらいい商品を作っても、腕を組んで待っているだけでは客が降ってきません。客が来るためにはあなたの存在を知り、作っている商品に価値を感じる必要があります。価値を感じれば初めて購入してくれます。

この一連の流れを作るのはマーケティングというスキルです。この世のものと思えない大声で叫ぶ魚屋さんも立派なマーケティング手法です。今夜は肉にしようとしていた人たちも魚を喜んで買います。それがマーケティングの魔法です。

中小企業やファミリービジネスこそ、自社商品に強い思いを秘めている経営者がマーケティングに取り組むべきです。経営の基本スキルを覚えながら、閉塞感に包まれている現状を打開しましょう!

目的を忘れて、手段に囚われないように

WebサイトもSNSも適当に作れば結果が出るものではありません。
知識をもって正しく作らなければ、アクセスされないページや誰も見ない写真に一生懸命時間を費やすだけで、思うような結果は得られません。

独学でもそれらの知識は覚えられますが、一朝一夕で身につけられるものではありません。長い月日とコスト(本や勉強など)を覚悟する必要があります。そこにある“落とし穴”に注意してください。ビジネスを成長させるためのマーケティングが、独学に莫大な時間と費用が掛かり、本業に影響が出るようなら本末転倒です。手段と目的を間違えないように気を付けてください。

その盲点を克服するため、私たちはあなたのためにマーケティングの基本セット(WebサイトとSNS)を作って、基礎知識や使い方などを丁寧に教えます。いつでも相談できる友達のように、あなたのビジネスを成長させるために二人三脚でマーケティングに取り組みます。商品への熱い思いがあり、ビジネスを成功させたい方は連絡ください。

自分でマーケティングに挑戦したい!
技術的な部分は私たちが作ります。あなたはマーケティングを少しずつ覚えながら、自慢の商品を熱く語るだけです。

この記事を書いた人たち:

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Intenciaチーム

日本と海外を遊び尽くし、翻訳とマーケティングに長く携わっている“いい歳している”大人たち。
自分たちの手で立ち上げた会社を通じて、多角的な視点と本質を射抜く経営観を日々養っている。

作成日:2025年11月27日
最終更新日:2025年11月29日

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