「いい商品だからきっと売れる。」
もしまだそう信じているなら、今日その幻想を捨ててください。いまの市場では、どれだけ魂を込めて作った商品でも、黙っていては一人にすら届きません。売れるかどうかを決めるのは、“商品の良さ”ではなく、“どれだけ情報を発信したか”です。
逆にいえば、マーケティングを味方につけた瞬間、あなたの商品の価値は桁違いに輝きはじめる。
この記事では、良いものを作る中小企業・ファミリービジネスが「伝える力」を手に入れるための道筋を、若干熱い語り口で説明します。
なぜ「悪い商品」でも宣伝すれば売れてしまうのか?
人間は周りの影響を受けやすい生き物です。ここでは“情報”が人間に与える影響を見ていきます。
情報の“量”が意思決定を支配してしまう
実際にその商品を使ったことないのに、テレビやインターネットの広告でよく見かけるから良いものと考えてしまう。街中の人たちが使っているから良いものと思い込んでしまう。挙げ句の果てに、必要ないのについ買ってしまう。なぜだろう?
普通に生活しているだけで、情報が無意識に蓄積されます。同じ情報が増えすぎると、その情報が私たちの意思決定を支配してしまう。嫌がらせのように流れてくるCMの歌を口ずさんだり、その商品を買ってしまったりした経験はありませんか?悔しくて認めたくないこの経験が、情報量による意思決定の支配です。
つまり、商品の広告や街中で使っている人々、その会社をクローズアップしたテレビ番組など、絶えずその商品の情報を浴びることで、無意識に意思決定が支配されます。悪い商品でも、宣伝すれば売れてしまうのはそのためです。
消費者は必ずしも「比較して選んでいる」わけではない
全ての消費者が性能、効果、含有量などを正確に比べて商品を購入すれば、いくらシャワーのような宣伝を打ちだしても、粗悪品が売れることはありません。
残念ながら、消費者はそこまで堅実ではありません。商品を比較するためには時間が掛かり、一定の知識も必要です。人は楽な道を選ぶ生き物なので、数値という客観的な判断基準よりも、好きな芸能人がその商品を使っている/CMに出ているかどうかで購入を決めてしまいます。
BtoCでもBtoBでも「一番よく見るもの」が選ばれる傾向に
情報量の影響を受けるのは一般消費者だけではありません。BtoBの世界でも、情報量が意思決定を支配します。
BtoBは安全性や信頼性を重視します。その安全性と信頼性を演出した広告で、長い時間を掛けて購買担当者に情報を浴びせていきます。いざと商品を購入することになったとき、担当者はどうやって30社の中から5社に絞るだろう?広告で見た会社から思い出します。「広告で見たってことは、名がある!つまり、信頼できる!」という論理が無意識に働きます。
BtoBでも、宣伝戦略が意思決定に影響を与えます。
良いものを作る正直者がバカを見る理由
悪い商品でも宣伝さえすれば売れることが分かりました。つまり、「いい商品でも全く宣伝しなければ1つも売れない」ということもできます。その仕組みと日本の多くの企業が陥る問題を見ていきましょう。
「知られていない」=存在しないのと同じ
世界一おいしいパンを作っても、誰も知らない山奥の洞窟で黙ってパン屋を開いたら、客が一人も来ません。
顧客が商品の存在を知り、その商品が自分にとって価値があると思わない限り、購入することはありません。そのため、商品を作ったら積極的に商品の存在を知らせ、その良さをアピールすることが重要です。顧客が商品の存在を知らなければ買い求めることができません。
品質と売り上げは比例しない
「良いものは黙っていても売れる」という日本独特の考え方があります。高品質な商品なら客はその良さを必ず理解し、絶対買ってくれるという頑固なオヤジの負け惜しみです。
先ほど見たように、客はそれほど堅実ではありません。比較して品質を見極めるのはごく少数で、大半は“安さ”と“人気度”だけで物を選んでいます。
品質にこだわることは大事です。しかし、品質が良ければ、それだけで物が売れる訳ではありません。高品質な商品を作って、しっかり宣伝することで初めて売り上げに直結します。
売り上げを阻む“職人気質のワナ”
技術的に優れているのに、外国企業の類似製品と比べてヒットしない・売れないのは、適切な宣伝を行わない上に、“品質を見れば分かる”と勘違いしている文化があります。技術に全振りして、売ることを軽視した独自の“職人気質”です。
中小企業やファミリービジネスがマーケティングに弱いのはそのためです。技術者の多くは大手ではなく、中小企業に集中しています。技術だけで勝てるという偏った考え方がその企業の可能性を潰しています。
つまり、売り上げを決めるのは“伝えたかどうか”
発信しない企業は市場にいないも同然
黙っていれば誰もあなたの存在に気付きません。まるでこの世に存在しないものです。存在しないものなど、誰も気にしません。
良いものを作れるのは努力を重ねた人だけ。この主張が正しいなら、売れるのは適切な宣伝を行った会社だけ、という主張もまた真実。ビジネスというゲームを遊び続けるためには、絶えず情報を発信する必要があります。
発信量×発信先×伝え方が売り上げを決める
もちろん、適当な情報を発信すればいいという訳ではありません。残念ながら、会社のブログに「今日道端で見つけた猫」の写真と一行だけの記事を見かけることがあります。
売り上げを上げるためには、適切な情報を適切な相手に、適切に伝える必要があります。ここからマーケティングの奥深さが始まります。
では何を「伝えれば」売り上げにつながるのか
価格より先に“価値”を言語化する
売り上げにつなげるためには、商品の価値を言語化して説明することが重要です。「使ってくれりゃ分かる」という無責任な言葉ではなく:
- 何が
- なぜ
- どういいのか
という最低限の説明をすることが重要です。
例えば、「うちの白味噌は皮が薄い特別な大豆を使っています。さらに、通常の2倍の工程で豆の皮を完全に取り除いているため、お雑煮やタラの西京漬けなど、食感と見た目に重きを置いた料理に最適です。」
先に“価値”を言葉で明確に伝えることで、客がその価値と価格が釣り合っているかどうかを判断します。自分にとって価値(食べたことない、試してみたい、お雑煮に合う味噌を探していた)がある白味噌だったら、価格が高くても納得して購入してくれます。
お客様の悩みに対する「答え」を見せる
お雑煮は年に一回しか作らないし、白味噌が余って使い切れなかったら勿体ない買い物だったということになる。どうしよう?
このような悩みが購入を妨げる理由になります。これに対して答えを見せればいいんです。例えば、毎日の味噌汁に白味噌をちょっと混ぜるだけで味に深みが出ることや白味噌を使ったレシピを提案するなど、客の不安や悩みに対して答えを見せるだけで購入につながることが多いです。
選ぶ理由を明確にする(比較表・実績・ストーリー)
白味噌は星の数ほどあります。他社の白味噌でもお雑煮作れるのに、なぜおたくの味噌を選ぶのか?
消費者のこのような疑問に対して、あなたの商品を選ぶメリットを明確に伝えることが重要です。体にいい特別な麹菌が入っている場合はそのメリットを説明することで大きなプラスになります。麹菌の特徴や効果も数値化して示せれば、客観的な情報になります。機械化・大量生産の工場製品ではなく、先祖代々の蔵で家族で伝統的な作り方で昔ながらの味を提供していることも大きなポイントです。作り手に共感して購入する客が多いのも事実です。
中小企業・ファミリービジネスがすぐ始められる「伝える仕組み」
腕組んで待っても客が降ってこないことが分かりました。では実際に何をすればいい?
まず月に1本でいい。公式サイトの“価値記事”
最も効果的な情報発信方法はWebサイトです。自社Webサイトを持つことで、会社や商品の説明はもちろん、通販機能とブログで情報を発信することもできます。
まずは月に1本でいいです。商品がなぜ、どういいのか?その特徴、客が持てそうな悩み、商品や作り手のストーリーを発信することが大事です。1年で12本の記事が24時間・365日、休むことなくあなたの商品を売り込んでくれます。その地道な努力が売り上げにつながります。
余裕があれば月に2本の記事を出しましょう。売り上げが上がる確率と速さが2倍になります。
SNSはブログを援護射撃するツール
自社サイトがないからSNSだけで情報を発信している企業も多いでしょう。何もしないよりマシですが、正しいやり方ではありません。なぜなら、SNSは即効性がありますが、発信できる情報の量が少なく、すぐに埋もれてしまいます。逆にブログは即効性がないものの、客を説得するために必要な写真・動画・文章などの情報をまとめて発信できます。つまり、それぞれの守備範囲が違います。
自社サイトでブログ記事を書いたら、SNSにその情報を発信しましょう。適材適所で両ツールを組み合わせることで、最大の効果(売り上げ)を狙いながらそれぞれのメリットを享受できます。
顧客の“よくある質問”を全部可視化する
客のよくある質問を自社サイトに掲載しましょう。疑問は商品に対する興味の証です。その疑問に答えることで、商品を購入してくれる可能性が上がります。
そして、一人から質問が出ているということは、同じ疑問を持つ人が他にもいっぱいいるはずです。よくある質問という形でWebサイトに載せることで、潜在的な客を掘り起こすことができます。
まとめ:売れる商品と売れない商品の違いは、情報を伝えているかどうです
悔しいなら情報発信に力を入れろ!
宣伝をすることは情報を発信することです。情報を発信すればするほど、悪い商品でも売れてしまう世の中です。ある意味、やったもの勝ちです。
しかし、この記事にたどり着いたあなたは、良いものを真面目に作っている人でしょう。損しているのは、情報を発信していないからです。パチモン業者が儲かって、真面目に作っている人がバカを見る状況は悔しいはずです。悔しいなら積極的に情報を発信して、作る方も買う方も得する世の中に変えればいいです。変えたいなら、今すぐマーケティングに取り組むんだ。
Intenciaは中小企業やファミリービジネスのためのWebサイトを作り、情報発信の仕方を教えながら一緒にビジネスを成長させます。経験がなくても、パソコンに詳しくなくても問題ありません。マーケティングの知識からパソコンの操作まで分かりやすく説明します。



