マニュアルの翻訳を依頼した時、翻訳後のレイアウト調整と確認が何十往復し、納品がギリギリになった経験ありませんか?
この問題は外国語が分からない人がレイアウト調整を行っているため発生します。
この記事ではマニュアルのDTP作業が翻訳の納期と費用を膨らませる理由と、その問題を解決するためにあなたが取るべき選択を分かりやすく説明します。
マニュアル翻訳のDTP(レイアウト調整)とは?
翻訳を依頼するときに必ず聞かれるレイアウト調整作業。DTPという聞きなれない作業の内容、必要性と特徴を理解しましょう。
レイアウト調整は見た目を整える作業
レイアウト調整は簡単に言えば、文章や画像の見た目をキレイに整える作業です。下記はレイアウト調整の主な作業です:
- フォントの種類やサイズの調整
- 余白の調整
- 画像のサイズや位置の調整
- 文章の区切り方など
一般的なWordやPowerPointからプロの現場で使われるInDesign・FrameMakerまで、文章と画像が使われているファイルを作る時に見た目を調整する必要があります。
翻訳の後に必ず発生する
レイアウト調整は翻訳の後に必ず発生します。なぜなら、言語が変われば文字が変わり、ページ数も必ず変わります。マニュアルを日本語から英語に翻訳した場合の事例を考えましょう。100ページで収まっていた日本語が英語に翻訳すると130ページに増えたりします。
そのため、原稿がいくらキレイに調整されていたとしても、翻訳すれば見た目が崩壊します。翻訳の後にDTP作業が発生するのはそのためです。
見た目を調整するためにはその言語を理解する必要がある
レイアウト調整の目的は文章を読みやすくすることです。そのため、文章や単語を適切に区切ったり、改行を入れたりする必要があります。
それぞれの言語に文章や単語の区切り方に関する複雑なルールがあるため、適当に改行を打てばいい訳ではありません。日→英翻訳の場合、DTPを行う人が英語できないと仕事になりません。
DTPのよく起きる問題
翻訳が納品されると依頼者は終わりのないチェックに追われます。ここでは、DTPでよく起きる問題と依頼者の身に降りかかる災難を説明します。
不自然な改行
翻訳されたマニュアルを見ると、文章が変なところで切れていることがよくあります。先ほど説明したように、DTPの人が文章をただ流し込んだだけか、見た目だけで改行を入れていたからです。
タイトルが長すぎる
これはどちらかというと翻訳者の問題です。
翻訳会社が用意したファイルにもよりますが、「今どの部分を翻訳しているか分からない」ことがよくあります。タグ情報から位置を判断できる場合がありますが、タグ情報の解釈が分からない翻訳者ならそのままスルーしてしまいます。この問題は特にMTPE翻訳で頻繁に発生します。
一か所を直すと別の箇所が壊れる
“ここを叩くとあっちから何かが出る”みたいに、特定の箇所を修正すると別の箇所が壊れるという問題もよくあります。これはDTPが盲目的に指示に従って、その修正が引き起こす新たな問題を予想できない時に起きます。この問題は特にDTPと翻訳が別々で行われるときに頻発します。
修正地獄による納期遅延・追加費用
修正を依頼した箇所が直っても別の箇所が壊れたら意味がありません。この“いたちごっご”のようなやり取りが何十往復も発生することがあります。依頼者が修正地獄に陥ると完成までのスケジュールが崩壊するだけではなく、予想外の追加費用も発生してしまいます。
問題の原因と納期・費用が膨らむ仕組み
地獄のようなDTP問題ですが、いったいなぜこのようなことが起きるのか?マニュアル翻訳で納期と費用が膨らむ原因を説明します。
翻訳会社がDTPを別の会社に再委託
翻訳会社にマニュアルの翻訳をお願いするときにレイアウト調整も一緒に依頼するのが普通です。分けると面倒くさいというよりも、「翻訳とDTPを一緒にやった方がもっといいものが出るだろう」という期待を込めてです。
しかし、現実は残酷です。DTPはほとんどの場合、依頼者が知らない別の会社またはフリーランスに再委託されています。つまり、DTPを翻訳と一緒に頼んでも、作業は別々のところで行われています。依頼者が込めた“期待”は知らずに踏みにじられています。
DTPの人が外国語分からない
翻訳された文章のDTPを行うためには、その文章を理解できる必要があります。しかし、多くの場合、レイアウト調整を行う人は母国語しか分かりません。翻訳文が変なところで切れて、不可解な見た目になるのはそのためです。DTPの人はそこまで判断できません。
修正を依頼すると壮絶な伝言ゲームが始まる
納品されたマニュアルをチェックすると修正の嵐が始まります。依頼者が「ここの部分をもう少し短くしてください」と頼むとその修正依頼が次のように動きます:
依頼者→DTP→翻訳者→DTP→依頼者
もしくは
依頼者→翻訳者→DTP→翻訳者→依頼者
簡単な修正であっても、翻訳とDTP作業が分断されている(別々の業者が行っている)ため、必要以上の取り次ぎが発生し、それぞれの解釈の違いで指示内容な少しずつ変化していきます。修正の行き来が何十回も発生するのは、ミスが起きやすい構造でマニュアルの翻訳とDTPが行われているためです。
マニュアルのDTP問題を解決するためには
原因が分かれば解決策が分かります。ここではマニュアル翻訳のDTPが本来どのように行われるべきかを説明します。
原因は「スキル不足」と「分断」
DTP問題を引き起こしている要因は2つです:
- 外国語が分からないDTP担当者の「スキル不足」
- ミスによる納期遅延と追加費用を誘発している「作業の分断」
奇跡的に英語のルールに詳しいDTP担当者が対応したとしても、解決できるのは改行の問題だけです。翻訳の修正は翻訳者、見た目はDTPが行うと、伝言ゲームによる納期遅れと追加費用は改善されません。
実はこの問題はDTPだけではありません。翻訳そのもでも同じ構造の問題が起きています。詳しくは翻訳会社に依頼しても“やり直し”になる理由で解説しています。
解決は「翻訳」と「DTP」の一体化
原因はDTPの言語能力不足と作業の分断であれば、翻訳者がDTPを行うことで今まで見てきた問題を解決できます。
DTPできる翻訳者がいるのか?
数が少ないですが、います。
翻訳+DTPの統合型翻訳を選ぶメリット
翻訳者がDTPを行う翻訳会社にマニュアルを任せることで、依頼者にどのようなメリットがあるのか?
翻訳者が最初から最適な翻訳を作る
DTPのスキルを持てる翻訳者はタグ情報を理解できます。タグ情報を理解することで、今翻訳している部分はタイトルなのか、文中なのか、UIの一部かどうかなどを一瞬で判断できます。最初からその場所に適した翻訳(表現や長さなど)を作ることで、依頼者のチェックの負担を大きく減らすことができます。
レイアウト調整も最短距離
翻訳が終わったらレイアウト調整に移ります。しかし、DTPを行うのは翻訳者自身なので、ファイルの内容と配置方法は既に頭に入っています。ファイル全体を見て、把握して、進め方を考える必要がないからこそ、DTP作業の期間が短くなります。
DTPと最終チェックが同時に行われる
レイアウト調整を行った翻訳者は仕上がりをその場でチェックできるため、翻訳を修正する必要があれば、その場で必要な変更ができます。翻訳者→DTP担当者の伝言ゲームは発生しません。
修正依頼は正確かつ最速
依頼者と翻訳者が直接やり取りするため、修正内容がそのまま直接伝わります。修正によって起こりうる問題も翻訳者が予想できるため、「翻訳」と「見た目」の両面で先回りして潰すことができます。修正依頼の往復を最小限に抑えることができます。
マニュアル翻訳のDTPで失敗しないために
納期やコストの膨張は翻訳とDTPの分断構造によって生み出されています。つまり、翻訳とDTPを社内で行なっている翻訳会社に依頼すれば、今まで見てきた問題を回避できます。依頼する前にチェックすべきポイントなどについては翻訳会社の選び方を参照してください。
また、DTPのみならず、翻訳を依頼する前に見るべき箇所や注意すべきところなどについては、翻訳依頼に失敗しないためのポイントも読んでください。
まとめ
「歌うだけ」の人がいれば、「踊るだけ」の人もいます。では、「歌って踊れる」人はいないのか?
翻訳業界では「翻訳は翻訳者」、「DTPは制作会社」という固定観念が長きに渡り続きました。その分断された考え方が特殊な構造を生み、その構造が納期と費用の膨張という形で依頼者に降りかかってきました。
マニュアル翻訳の問題を解決できるのは、翻訳とDTPを一体化した統合型翻訳サービスです。約束通りのスケジュール、お見積もり通りの金額、そして今までにない感動を体験したとき、あなたはもう普通の翻訳に戻れません。












