製品の発売からしばらく経ったころ、このような経験はありませんか?
・使い方に関する問い合わせが増える
・クレームの電話が鳴りやまない
・サポートセンターがパンクする
・売り上げが落ちる
製品自体に致命的な問題がなければ、原因は取扱説明書にあるかもしれません。この記事は、取扱説明書の翻訳における用語集とクレームの意外な関係を説明します。
用語集がないとサポートセンターが困る仕組み
取扱説明書の翻訳に用語集をつけないとサポートセンターがパンクする?「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、用語集とサポートセンターにもその不思議な関係があります。
用語集がないと取扱説明書の記載と画面の記述がズレる
取扱説明書は製品の“困った”を解決するためにあります。例えば、あなたが最新のソフトウェアを購入したとしましょう。インストールはできたが、まずは基本設定を行わなければなりません。基本設定はどこからやるのか?
取扱説明書を調べたところ、「ファイル」メニューから「設定」をクリックすれば、「設定画面」が開くという記述があったとします。「ファイル」メニューをクリックしたが、そこには“設定”というオプションはありません。どうしますか?
記述がズレると取扱説明書として役に立たない
基本設定のやり方が分からないから取扱説明書を参照したのに、文章の指示が画面に表示されているUIと違っていたら、その取扱説明書は役に立ちません。
役に立たない取扱説明書ではユーザーが自分で問題を解決できない
取扱説明書は製品の使用方法に困ったとき、ユーザーが自ら調べて問題を解決できることに意味があります。にもかかわらず、ユーザーが抱えている問題を解決できなければ、その取扱説明書を調べる意味がありません。
自分で解決できないとサポートセンターに電話する
購入したソフトウェアはいい値段がしましたので、放置して買ったことを忘れるわけにはいきません。どんなに面倒くさい方法でも、必ず元を取ろうとします。
ユーザーがサポートセンターに電話するのは、そのソフトウェアの操作方法を知るためです。
“用語集抜き”が引き起こす問題
ユーザーが操作方法を覚えるために電話するのは至って普通ですが、問題はその心理状態です。クレームの嵐が社内と売り上げに与えるインパクトは大きいです。
サポートセンターがパンクする
基本的な操作も説明できない取扱説明書にユーザーは怒り心頭です。製品の購入費用、使えなかった時間、電話がつながるまでに待たされた数分。その心理状態ではユーザーは操作方法の単純な問い合わせを飛び越えて、正当なクレームの電話に変わります。
しかも、製品を購入したのは一人や二人だけではないはずです。数千から数万人単位が電話したら、サポートセンターは確実にパンクします。
売上が落ちる
現代は誰もが口コミが書ける時代です。真実を語る口コミがあれば、ウソを並べただけ口コミもあります。
購入した製品で嫌な体験をしたユーザーは怒りのはけ口として、口コミに思いの丈を綴ります。しかも、一人や二人ではなく、百人単位で同じ“設定”の問題に言及しているなら、正当な口コミである可能性が高いでしょう。その口コミを読んだ人が製品の購入を諦め、会社の売上が落ちます。
用語集があっても安心できない
用語集を出したのに、依頼した翻訳が用語集通りになっていないという経験を持っている人が多いと思います。用語集は大事ですが、出しただけでは安心できない理由を説明します。
用語集の威力は使い手次第
用語が3~4つしかない用語集だったら暗記できそうですが、ソフトウェアの用語集は数万件の用語が入っています。無理です。
用語集を正確に運用するためには、暗記に頼らない使い方が必要です。用語集をCATツールに連動して、使うべき時に使うシステムが必要不可欠です。そして使った用語が正しいかどうかをチェックするためには、コンピューターで誤用を検出するシステムが重要です。
暗記して用語を使い、読みながら目視でチェックするようなやり方では、いくら用語集を提供しても意味がありません。
原因は原稿にあることも
もう一つの盲点は原稿にあります。用語集があれば用語集通りの翻訳ができますが、そのためには原稿が正しい用語で作られていることが前提条件です。原稿の用語がバラバラになっていれば、いくら用語集があっても役に立ちません。
用語集とサポートセンターの問題を防ぐためには
取扱説明書の用語が間違っているとユーザーが自分で問題を解決できなくなるため、サポートセンターに電話します。その内容と数から考えると、会社は通常の運営ができなくなるだけではなく、売り上げの損失という致命的な問題に直面します。
この問題を防ぐためには、取扱説明書の翻訳に用語集を提供することが大事です。しかし、用語集をただ出せばいい訳ではありません。用語集の正しい運用方法を知り、対応できる翻訳会社を選ぶことが重要です。












