翻訳費用を抑える方法 – 見積もりの時から注意すべきこと

最終更新日:2026年3月25日
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言語と分野以外に、翻訳費用に影響を与える要素は何か?
料金を上げる要因と、費用を抑えるために依頼者ができることを紹介します。

この記事の内容

翻訳費用を上げる要因

翻訳料金はほぼ言語と分野の組み合わせで決まりますが、ファイルの状態や作業の進め方によって追加料金が加算されることが珍しくないです。

通常の作業にはない負担

例えば、普通はパソコンで作られたファイルをもらって翻訳しますが、誰かが汚い字で書いた紙をもらったら、通常想定されている費用や納期で処理できません。文字起こしや“解読”の費用が加算されてしまいます。

依頼してからの仕様変更

翻訳を依頼してからの仕様変更も追加料金が発生する原因の一つです。“自転車“を注文しながら、途中から「エンジンもつけて」や「保安基準に適合させて」という要望を出したら、最初から“車”を注文した方が安いでしょう。

翻訳では原稿の変更や発注時になかったチェックの要求が翻訳費用を上げる要因になります。

翻訳費用を抑えるために依頼者ができること

翻訳に掛かる時間が増えれば増えるほど翻訳費用が上がります。ならば、翻訳費用を抑える極意は「翻訳の手間を増やさないこと」です。

ここからは、翻訳の見積もりをお願いする前に依頼者ができる防衛策を紹介します。

翻訳費用を抑えるポイント ‐ 原稿編

お見積もりをお願いする前に、依頼者が気を付けるべき原稿の注意点をまとめました。

キレイな原稿作りを心掛ける

正しい機能を使いながらファイルを正しく作れば、問題はほとんど起きません。

100ページのWordファイルを想像してください。タイトル、目次や見出しなど見た目がキレイに整っています。申し分のないファイルに見えますが、いざ目次に変更を反映しようとすると更新ができません。なぜなら、見出しが正しく設定されていない上、目次は力業で一つ一つ書かれたものでした。

自己流のパソコンスキルで仕事をこなす人が多く、見た目さえ良ければ問題ないという“妥協”が見え隠れします。社内の目を欺けても、文書のプロはごまかせません。キレイに作りこまれたファイルと、“その場しのぎ”で間に合わせたファイルの違いが分かります。

翻訳料金は正しく作られたファイルを前提に計算されているため、その範囲から逸脱した原稿は追加料金や納期延長の原因になります。

お見積もりをお願いする前に、その原稿が正しく作成されているかどうかを一度確認しましょう。

正しいツールで正しいファイルを作る

世の中に“Excel職人”という人たちがいます。Excelの様々な機能を駆使して社内業務を本当に支えるExcel職人がいれば、お絵かきから文章まで何もかもをExcelでやろうとする職人もいます。ここでは後者の話です。

10万字ほどの社内マニュアルをExcelでもらったことがあります。Wordなら問題なく処理できますが、Excelの場合は文章が途中で切れるためそのまま翻訳できません。一旦Wordに文章を“移植”して、CATツールでWordを翻訳してから、その文章をExcelにまた“移植”するという作業が発生します。

間違ったツールでファイルを作れば無駄な作業が発生します。翻訳費用を抑えるためにも、“適材適所”を心掛けましょう

PDFは避ける

昔々、友達がWordで作った文章をメールでもらったものの、自分のパソコンにWordが入っていないから開けないという時代がありました。その救世主として現れたのはPDFというものです。友達がWordからPDFを作れば、自分のところでも見られます。万歳!

このように、PDFはちゃんとした原稿ではなく、内容を見せるための“苦肉の策”です。中身の編集ができないし、元ファイルの機能が大幅に削減されています。つまり、PDFは“その場しのぎ”のファイルです。

翻訳原稿としてPDFを使うと、テキスト情報が失われる可能性がある上、レイアウトの再現も難しいです。力業でテキストとレイアウトを再現することは可能性ですが、追加費用が発生する可能性が高いです。

お見積もりをお願いする前にPDFの元となったファイルを用意しましょう。元ファイルがどうしても見つからない場合は、レイアウト再現を放棄して文章のみに翻訳を限定しましょう。追加費用を原稿作成のみに抑えられます。

文字が取れない写真やスキャンデータは追加料金の対象

“文字が取れる”原稿が前提になっている時代に、文字が絵や写真になっているファイルを翻訳するためには、「文字起こし」という作業が必要です。

原稿を見ながらWordファイル等に文章を打ち込む作業は時間も手間も掛かります。住民票などの公的書類がその代表的な例ですが、レイアウトの再現(原稿の見た目そっくりな翻訳ファイル)が必要な場合、さらにレイアウト再現費用が掛かります。

公的書類の場合は仕方ありませんが、それ以外の原稿は自分で文字起こしを行うことで翻訳料金を抑えることができます

翻訳費用を抑えるポイント ‐ チェック編

翻訳が納品されてから、会社独自の用語や表現に変えたくなるものです。誤訳の“修正”は無料対応が原則ですが、好みによる“変更”は割高な料金が掛かります。

あとから“やってしまった”にならないために、見積もり時に依頼者ができることを説明します。

用語集を提出する

用語集は会社独自の用語を集めた“辞書”のようなものです。小さいもので数件、大きいもので何十万項目の用語集が存在します。翻訳しながら用語集を当てはめていく場合と翻訳が終わってから間違い探しをするのでは、作業内容も費用も全然違います

見積もり時に用語集を提出することで、翻訳会社がその内容と規模に合わせた最も合理的なプロセスを組むことができます。

スタイルガイドを提出する

用語集と全く同じ理由で、原稿と一緒にスタイルガイドも提出した方がいいです。翻訳の途中、または一旦終わってからスタイルガイドを使ったチェックを頼むと、費用も納期も確実に膨れ上がります

スタイルガイドは小さなもので数項目だけで終わりますが、MicrosoftやAppleのスタイルガイドのように数百ページに及ぶものは特別なチェック体制を作らない限り対応できません。人数を増やせばできるものではないので、品質面で失敗しないためにも、発注する前に翻訳会社にしっかり確認取った方がいいです。

翻訳費用を下げる方法もある

今までは翻訳費用を上げる要因を説明してきましたが、実は翻訳料金を下げる方法もあります。その方法と注意点について解説します。

翻訳メモリの正体と役割

翻訳を語る上で欠かせないのは翻訳メモリです。簡単に言えば、翻訳メモリは翻訳のデータベースです。原文と訳文がペアをデータベースに登録することで、同じ原文がまた出てきたときにすぐに引っ張り出して使える優れものです。

元々は翻訳者の作業負担を減らすために開発されたシステムですが、翻訳費用を計算する上でも使えます。例えば、原稿に対して翻訳メモリが10%ぐらい使えるなら、その10%を安くしてもいいのではという考え方です。翻訳メモリによる割引を受けるためには3つの条件を満たす必要があります。

条件1‐翻訳メモリに対応している翻訳会社

翻訳メモリで翻訳費用を抑えるためには、依頼しようとしている翻訳会社がTradosなどのCATツールに対応している必要があります。

CATツールを使わないフリーランス翻訳者は依然として多いため、依頼者した翻訳会社がその翻訳者に再委託したらその恩恵が受けられません。翻訳会社だけではなく、翻訳者もCATツールを使っているかどうか確認しましょう

条件2‐翻訳メモリを適切に利用している翻訳会社

翻訳費用を抑えるためには、翻訳メモリの厳格な運用が必要です。具体的にいえば、翻訳メモリをクライアントごとに分ける必要があります。

当たり前のように聞こえますが、その当たり前のことができていない翻訳会社が多いです。なぜなら、翻訳メモリは大きくなればなるほど、データを再利用できる確率が上がります。再利用率が上がれば、翻訳者のコストを下げて、自分たちの利益率を上げることができます。

一見すると依頼者にもメリットがありますが、実は品質が大きく損なわれます。自社の原稿に他社の用語や言い回しが混ざったり、自社の情報が他社に漏れたりするためです。

翻訳メモリは拳銃のようなものです。犯罪者が使えばただの凶器ですが、警察が使えば正義を実現する道具です。依頼しようとしている翻訳会社が翻訳メモリをどのように利用しているか確認しましょう。正しく利用している翻訳会社なら淀みなく説明してくれます。

条件3‐翻訳メモリの運用を理解している翻訳会社

翻訳メモリは奥が深く、すべての翻訳会社がその使い方を理解しているわけではありません。翻訳メモリを使うタイミング、設定や管理方法など、翻訳に深い理解がなければ十分に活用できません。

翻訳メモリの運用に関して詳しく知りたい方は翻訳メモリ運用のメリットをお読みください。

まとめ

翻訳費用は“普通ではない”作業が発生した時に上がります。その予想外の費用を防ぐためには、原稿作りに注意しながら、用語集やスタイルガイドを事前に提出し、費用の増加を防ぎましょう。

翻訳メモリを上手く運用することで、翻訳費用を下げることもできます。運用するためには同じ翻訳会社に翻訳を依頼し続け、翻訳メモリを蓄積していく必要があります。翻訳データをコツコツ貯めることで、翻訳費用が確実に下がっていきます。

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この記事を書いた人たち:

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Intenciaチーム

日本と海外を遊び尽くし、翻訳とマーケティングに長く携わっている“いい歳している”大人たち。自分たちの手で立ち上げた会社を通じて、多角的な視点と本質を射抜く経営観を日々養っている。

作成日:2026年3月25日
最終更新日:2026年3月25日

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