翻訳会社に翻訳を頼んだものの:
・用語が全部バラバラ
・修正を依頼しても修正されない
・結局は社内で修正することに
このような経験をもつ依頼者は少なくありません。この記事では、用語がバラバラになる理由と依頼者が被る被害を説明します。
翻訳における用語と不統一問題について
全ての翻訳に用語集が必要という訳ではないため、用語集の意味を知らない人も多いでしょう。ここでは、用語の正体と用語に関する問題を分かりやすく説明します。
業界用語‐業界の中で使われている特有の単語
用語はその業界で使われる特有の言葉です。例えば、私たちが日常生活で使っている“ボタン”という単語に対して、工業製品では“スイッチ”という用語を使うことがあります。同じものを指しているのに、業界が変わるだけで違う単語を使います。これは業界(分野)における用語です。
社内用語‐その会社だけが使っている特有の単語
物の呼び方が変わるのは業界単位だけではありません。会社が変われば、同じものでも違う呼び方をすることがあります。例えば私たちが普通に使っている“車のカギ”という単語に対し、トヨタは「スマートキー」と呼び、日産は「インテリジェントキー」と呼びます。同じ車のカギなのに、会社によってその呼び方が変わります。
用語の不統一問題
決まった用語を使わなければならない翻訳では、2つの問題が起きます。
1つ目は「用語の不使用」といい、用語を使うべきなのに使っていないことを指します。例えば、車の取扱説明書で「スマートキー」を使うべきなのに、「車のカギ」を使った場合です。
2つ目の「用語の不統一」は、同じ用語を使うべきなのに、2つ以上の異なる用語が使われている状況を指します。例えば、車の取扱説明書に「スマートキー」、「車のカギ」や「インテリジェントキー」が混ざっているような状況です。
用語の不統一で依頼者が受ける被害
依頼した翻訳の用語が正しく使われていない・統一されていない場合、依頼者は切羽詰まった状況になります。なぜそうなるのか?
問題が分かるのは納品された後
用語集が正しく守られていないことが分かるのは、大体翻訳が納品されたあとです。その翻訳がいつ使われるかによりますが、ほとんどの場合はギリギリのタイミングで判明します。公開の時間が迫るなか、問題の規模を把握しながら、効率的な修正方法を考えなければなりません。かなりストレスフルな対応が求められます。
翻訳会社が修正を対応できない
修正のため翻訳を翻訳会社に戻しますが、翻訳会社は修正してくれません。なぜなら、やった本人たちも何が問題か分かっていません。用語がバラバラになっていることが分かっていたら、当然納品前から修正していました。しかし、そもそも自分たちで検出する技術がなく、“何が分からないか分からない”状態なので、すべてが翻訳者任せになっています。
自社のリソース(時間・人・お金)を使った終わりのない修正地獄
神に見放された依頼者は結局、自社の社員、お金と時間を使って、残りのわずかな時間で用語の修正を行う必要があります。
しかし、この修正作業は容易ではありません。なぜなら、依頼者は原文と訳文を突き合わせながら、目で間違いを探す必要があります。アナログな作業のためミスが多く、ダブルチェックを行っても完璧に修正するのは難しいです。
数百ページの取扱説明書の場合、4~5人の社員が3週間ぐらい自分の仕事ができなくなります。
頼んだ翻訳の用語が不使用・不統一に陥る原因
翻訳会社経由で依頼した翻訳になぜ用語の不使用・不統一が発生するのか?ここでは問題の仕組みを説明します。
そもそも用語集が用意されていないケース
意外かもしれませんが、用語問題の原因として「そもそも依頼者が用語集を用意していない」ケースが全体の3割ぐらいです。
特に業界用語に関しては注意が必要です。業界内の“大人の事情”により、同じものに対して2つ以上の用語が存在する場合は珍しくありません。翻訳者が“たまたま”依頼者の好みの用語を使えば問題ないですが、別の用語を使ったとしても間違っていません。その場合は翻訳の“修正”ではなく“変更”という扱いになるため、追加料金が発生するのが普通です。
翻訳者はそこまで気が回っていない
用語集はすべてのジャンルで使われている訳ではありません。あなたの翻訳を対応した翻訳者がたまたま用語集不要なジャンルの人なら、“用語を守る”ことを全く気にしません。気にしないというよりも、用語を守るという“ルールの存在さえ知らなかった”が正しい表現です。
複数人の翻訳者が関わっている
用語の不使用・不統一の最も多い原因は「複数の翻訳者が関わっている」ことです。
依頼者の無理な納期要望に応えるため、翻訳会社が複数名の翻訳者に仕事を分けることがあります。二人の翻訳者が手分けする案件があれば、15人以上が関わるプロジェクトもあります。その時に起きるのは、翻訳者間のコミュニケーション不足です。
翻訳者同士がコミュニケーション取れない場合、翻訳会社のコーディネーターやプロジェクトマネージャーが情報の管理者になります。しかし、翻訳の経験がない管理者は共有すべき情報も知らず、翻訳者が孤立してしまいます。手を止める訳にはいかないので、15人がバラバラの用語を使ってしまいます。
用語の問題を回避するためには
依頼した翻訳に用語の問題があると、企業に大きな人的、時間的、そして経済的損失が発生します。もちろん、実際に依頼を行った担当者の責任も問われます。
それでは、社内の修正地獄を未然に防ぐにはどうすればいいのか?
この問題を回避するためには、「用語集の正しい運用方法」を知る必要があります。












