この記事を読んだら、AI翻訳を使っていい内容と避けた方がいい原稿の種類とその理由まで理解できます。
AI翻訳とは?
AI翻訳はChatGPTに代表される人工知能サービスを使った翻訳です。プロンプトに翻訳してほしい文章を入れるだけで、その文章の翻訳が表示されます。
AI翻訳の仕組み
私たち人間が使う言葉は自然言語といいます。日本語や英語などの言語は自然言語です。これに対し、コンピューター処理に使うプログラミング言語は形式言語と呼ばれます。
AIはNLPという“変換機”のようなものを使って、人間がプロンプトに入力した文章を解析・処理します。そして膨大なデータの中から、プロンプトに入力された文書に合うデータを探してから加工し、答えとして画面に表示します。
つまり、プロンプトに入力された原稿をAIが解析・処理し、膨大なデータの中からその原稿にあるデータを探してから別の言語に加工し、翻訳として画面に表示します。これがAI翻訳の大まかな仕組みです。
AI翻訳と機械翻訳の違い
AI翻訳はNPL処理で自然言語を解析・処理するのに対し、機械翻訳は単純なアルゴリズムと設定されている翻訳メモリで翻訳を行います。そのため、機械翻訳の文章は不自然で間違いが多いです。AI翻訳は高度なNPLで原稿を処理するのに対し、機械翻訳は粗いアルゴリズムです。また、AI翻訳は膨大なデータを使うのに対し、機械翻訳は限定的な翻訳メモリを使います。この2点で結果が大きく変わります。
AI翻訳のメリット
通常の翻訳サービスと比べて、AI翻訳に二つの大きなメリットがあります。
費用が安い
AI翻訳の一つ目のメリットはその安さです。無料プランで処理できる範囲なら、翻訳が無料で出てくるということになります。
処理速度が速い
AI翻訳の二つ目のメリットは速さです。プロンプトに原文を入れて数秒待つだけで翻訳が出てきます。
AI翻訳の品質
AI翻訳で最も気になるのは品質の部分です。テストした翻訳で見つけた4つの気になる点をまとめました。
AI翻訳は「読める・理解できる」文章
試したことある人なら分かりますが、AIの翻訳は下手な翻訳会社が提供する翻訳よりずっと分かりやすくて読みやすい文章です。多くの翻訳会社がゴリ押ししていた機械翻訳がマーケットから消えたのはそのためです。
用語がバラバラになる
短い文章なら問題になりませんが、数万字以上ある原稿の場合、用語にバラつきが出ます。
マーケティングの一環で会社独自の用語を定めることは良くあります。通常の翻訳ではそれらの用語を用語集に落とし込んで用語の統一を図りますが、AI翻訳ではその用語が途中でバラバラになってしまいます。
翻訳が正しいとは限らない
AIに計算をお願いしたことある人なら経験していると思いますが、AIは間違った計算を普通に出してきます。つい最近、とある分野の市場規模の金額をドルから円に換算してみたところ、30兆円になるはずが3兆円という回答でした。
電卓で検証したから計算ミスに気づけましたが、AIに翻訳を依頼する人の多くは外国語が分からないため、検証のしようがありません。つまり、AIが出した翻訳が正しいかどうかは分かりません。
ハルシネーション問題
AIはその仕組み上、ハルシネーション(幻覚)という問題を起こすことがあります。無いものがあったり、あるものが無かったりという、ドラッグで幻覚を見ているような状態が発生します。
具体的に何が起きるかというと、あなたの質問に対してAIが事実にではない・存在しない情報を基に、大真面目に回答してきます。翻訳にもそのような回答が出てくる可能性がありますが、いつ、どこに出るのか分からないのが怖いところです。
AI翻訳のデータセキュリティ
AI翻訳を使うと原稿の情報漏洩が気になる人が多いでしょう。“楽するための対価”がどこで支払われているかについて説明します。
原稿の情報が漏洩する
AIのプロンプトに入れた質問やアップロードしたファイルの中身はすべてAIサービスのサーバーに保存されます。つまり、AIで翻訳しようとしている文章の情報も当然、第三者に漏れてしまいます。
AIに限らず、“クラウド”を謳うすべてのサービスが同じ仕組みで成り立っています。ユーザーから搾り取ったあらゆる情報を“ビッグデータ”などと称し、その情報をお金に変換していきます。クラウドサービスが安いのはそのためです。
情報セキュリティを本当に重んじるなら、資料作成から名刺管理まで、あらゆる処理を社内ネットワークで完結(オンプレミス)させることが大事です。
AI翻訳のデメリット
AI翻訳のデメリットはデータセキュリティ、内容の正確さと費用の3つ分けることができます。
原稿の情報が漏洩する
先ほど見たように、AIサービスは自社ではなく他社のサーバーで実行されているため、そのやり取りで発生したすべての情報が第三者に漏れる構造になっています。翻訳にAIを使うと、原稿である契約書やマニュアルなどの重要な情報がサーバーに漏れるため、場合によっては致命的なデメリットになります。
結局は外国語が分かる人がチェック・修正しなければならない
AI翻訳の品質でも説明したように、AIはたまに間違った回答を出すことがあったり、ハルシネーションを起こすこともあったりします。計算の事例では、正解を知っていたから計算が間違っていることが分かりましたが、正解が分からなければそのままスルーしていたでしょう。
翻訳に置き換えると、AI翻訳が提示した翻訳が正しいかどうかをチェックする必要があります。自分が外国語分かれば確認できますが、そもそも外国語できればAIに頼むことはありません。自分で翻訳した方が思い通りの訳文ができます。
苦しむのは外国語が分からない人です。結局は分かる人にチェック・修正してもらわなければならないため、予想外の時間と費用が掛かります。この時に初めて、通常の翻訳の方がもっと早く、もっと安く済むことに気づきます。
原稿の量によって高くつく
意外と盲点なのは、AIに頼める仕事の量です。プランによって依頼できる“量”があり、無料プランではすぐ限界に到達します。とはいえ、有料プランにも限界があり、トークンなどを使った別の方法を検討しなければならない場合もあります。トークンは使った量だけ払う潔いシステムですが、大規模な翻訳だと通常の翻訳料金をはるかに上回る場合があります。
AI翻訳の上手な使い方
AI翻訳のいいところと悪いところをすべて考慮したうえで、どんな翻訳ができて、どんな内容なら考え直した方がいいのかを冷静に見ていきましょう。
AI翻訳が使えるもの
AI翻訳はその速さ、安さと手軽さ(ブラウザ立ち上げればすぐできること)を考えると、個人的な調べもので、誤訳があっても損失は自分でカバーできる原稿なら使えるといえます。例えば、見たWebサイトに書いてある内容を調べたり、海外旅行した時に手にしたパンフレットの文章を翻訳するときには使えるでしょう。いずれの事例でも翻訳を使うのは自分であり、誤訳によって何らかの問題が発生したとしても、その害を被るのは自分だけです。
AI翻訳を使わない方がいいもの
AI翻訳は予想外の誤訳を出す可能性があります。そのため、誤訳によって命や健康が脅かされる内容、ビジネスでカバーしきれない損害が発生しうる内容、相手が害を被る可能性がある場合などはAI翻訳を避けた方が安全でしょう。
まとめ
この世に完璧なものはありません。何ごとにもメリットとデメリットがあるため、使う場面を見極めることが重要です。
AI翻訳は人工知能をベースに動いています。人工知能は誤った回答やハルシネーションによるフェイク情報を出すことがあるため、AI翻訳もその影響を受けます。そう遠くはない未来に人工知能が飛躍的に進化し、誤った回答もハルシネーションもない時が来るかもしれません。しかし、その未来に、AI翻訳の品質を気にする人間がまだいるだろうか?







